年金月額13万円時代とは
本投稿は、森永卓郎氏の「長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋」(角川新書)を読んでの感想です。
2019年の年金財政検証では、経済成長や高齢者の労働参加率等の推移を勘案し、楽観的なケース1から悲観的なケース5までの試算を示されました。その中では以下のことから、年金13万円時代が見えると氏は指摘しています。
①前提となる数字が甘い、最も悲観的なケースが最も現実的
ケース1では物価上昇率2.0%、賃金上昇率1.6%、運用利回り3.0%を想定しています。氏はこの前提について余り過ぎると指摘しています。確かに過去の経済の推移からすれば、物価上昇率2.0%、賃金上昇率1.6%というのは甘すぎる気はします。
ではケース5ではどうでしょうか。 物価上昇率0.8%、賃金上昇率0.8%、運用利回り2.0% とようやく現実的な数字が並んでいます。最も悲観的なケースが最も現実的ということです。
②悲観的なケースでの年金額
そしてこのケース5での2043年の夫婦の年金額は20.8万円、所得代替率50%となっています。
しかしこれは年金積立金の取り崩しを含めた数字であり、それが枯渇する2052年以後は所得代替率が35~37%にまで低下するというのです。
すると夫婦の年金13万円の出来上がりです。
(2019年年金財政検証より)

ケース5の場合

どう対応するか
年金13万円時代に向けてどう対応すれば良いのでしょうか?氏は大きく以下の2つを指摘しています。
①少し働く
住民税非課税となる範囲で働くということを提唱されています。現行制度では非課税の範囲で稼げる月額は概ね5万円程度となるようです。非課税世帯であれば、行政から様々な支援が得られ、また保険料も安いからです。
働く業種としては、ある程度体を動かして健康に良い農業がおすすめ。またとれた野菜を食べることも健康に良く、地震等への対策にもなる。食費の削減にもつながる。
②13万円以内で暮らす、特に都心に近いトカイナカがお勧め
都会では生活コストが高く13万円以内での生活は困難。
田舎は自動車の維持コストが高く、人の関係が密過ぎる、商業施設が少ない等のデメリットが多い。
この点トカイナカは、都心に近いのに自然は多く、自宅で農業をすることもできる。商業施設も多い。
FIREについて
氏はFIREについて、危険な生き方だとしています。根拠は以下の2つです。
①FIRE後に株価が下落した場合、生活が破綻することを指摘しています。例えば日本のバブル崩壊直前に、資産7500万円の人が4%ルールでFIRE生活を始めたとすると、10数年後には無一文になってしまうとの試算を示しています。
②また足元での米株価はバブルであり、崩壊すれば3割は下落する可能性があるとしています。根拠はシラーPERが38倍と高く、またその継続期間も長いからです。
この見解に対しては、
①⇒株価の下落を想定して現金を保有、配当金の中で生活できるように設計する、様々な国、資産に分散しておく等が考えられます。すると必要資金は7500万円より大きいといことになりがちですが。
②⇒益回りと長期金利のスプレッドで見ればバブルとまでは言えないと考えています。また日本株は全体的に安い銘柄が多いと思います。
まとめ
森永氏は夫婦年金月額13万円時代の到来をしています。
そしてそのシミュレーションは一定の現実性を有しています。
対応するには、住民税非課税範囲内で働く、トカイナカに住む等を提唱しています。
バブル崩壊の点についてはやや懐疑的です。しかしFIREするには、株価下落をも想定した準備を行う必要はあることは事実です。
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コメント
30年間何の政策もうたないということも可能性は低いような感じはするが
しかし現にこの30年はうたなかったから何とも言えんが