高市氏の政策
高市氏の金融所得課税に対する考え方は、同氏の文章を読めば分かります。
(【わが政権構想】日本経済強靭化計画|高市早苗より引用)
~金融所得税制については、「逆進性」が大きい。不満は出ると思いますが、この時期には増税をさせていただきたい。
マイナンバーを活用して金融所得(配当所得と譲渡益)を名寄せして、50万円以上の金融所得の税率を現状の20%から30%に引き上げると、概ね3,000億円の税収増になります。2021年度(予算)の配当所得と譲渡益に係る財務省資料の数字を基に試算です。~
ここから分かることは、以下の3点です。
①金融所得課税を20%から30%へ引き上げるということです。ということは、ここには明記されていませんが、配当所得を総合課税に一本化するという話ではない可能性が高いということになります。総合課税であれば、累進課税の所得税率が適用されるため、この様な表現にはならないからです。
②50万円以上の所得ということですが、これは仮に配当利回り2%の銘柄とした場合には2500万円分の株式を保有している人ということになり、配当利回り3%では1666万円分の株式を保有している人ということになります。つまり、小金持ちにも増税するということですね。
この点、金融所得課税は「逆進性」が大きいとしています。逆進性とは、消費税の時によく耳にする言葉ですが、つまり所得の少ない人ほど負担感が大きくなるということです。高市氏はこの点については、今は仕方がないとしていることからも、小金持ち狙いの課税という印象を抱かせます。
③概ね3000億円の増税ということは、増税対象の所得は約3兆円(3000億円÷増税10%)ということになります。これは、配当所得全体のどの位の割合でどの辺りを狙っているのでしょうか?この点については後述します。
金融課税の逆進性とは
高市氏の逆進性とははおそらく以下のグラフに示されることだと考えます。そしてそれを仕方がないとしていると思われます。
この図の意味は、1億円を超えると逆に実質的な税率が下がるということを表しています。
どうしてそうなるかというと、本来の所得税は累進課税であり、最高税率は45%です。よって本来は下図は45%まで比例的に伸びて、その後横ばいとなるはずです。しかし、高所得の人達は実は配当所得の比率が高く、その所得が分離課税として税率20%であるために、実質税率が下がるのです。
つまり、分離課税は高所得者にとって有利であり、逆進性が働くということです。
とうことは、この仕組みは現状では変化が無く、税率のみが変わるということです。
そして、この優遇を温存するのは、富裕層の海外流出を防ぐためではと勘繰りたくなります。

小金持ち家計を狙い撃ち
日本銀行の資金循環統計によれば、日本の上場企業の株式合計額は745兆円です。これに東証1部全銘柄の加重平均利回りである2%を掛ければ、配当所得は15兆円となります。この15兆円に増税分の10%を掛ければ、増税額は1.5兆円となり、高市氏の言う3000億円と大きく乖離します。
ここで、家計が保有する上場企業の株式のみを見てみましょう。それは120兆円です。これに2%を掛ければ、家計の配当所得は約2.4兆円。これに増税分の10%を掛ければ、2400億円。
高市氏の試算である3000億円に近い答えになります。この3000億円には譲渡所得を加えていることを鑑みれば、ほぼイコールとも考えられます。
つまり、企業の配当所得には課税せず、家計にのみ課税するということではないでしょうか。
そもそもマイナンバーを活用するとありましたが、その必要があるのは、つまり申告不要で課税関係を終了させていた個人を狙っているからではないでしょうか。
FIREへの影響は
リタイアして仕事を特にしていないFIREであれば、対応は簡単です。分離課税とせず、総合所得して確定申告すれば、高市氏の政策の影響は受けません。
影響があるのは、一定の年収がありながら、配当所得を得ている人たちです。こういう人たちは、とにかく配当をあまり出さない銘柄やインデックスファンドに投資して課税を先送りすることが有効な対応ではないでしょうか。
まとめ
高市氏の政策は小金持ちの個人を狙った増税策と考えられます。
背景には、財政難はもちろんのこと、富裕層優遇と取りやすいところから取るという考え方んも現れのの様に見えます。
対応は、配当以外の所得があまり無い人は確定申告して総合課税とし、配当以外の一定の所得がある人は課税先送りが有効です。
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コメント
小金持ちって個人事業主とか微細企業の社長とかでしょ。
いままで税金を一番取りにくかった層じゃない?